京都府立医科大学 眼科学教室

視機能

 我々の研究に関する基本理念は、視力やコントラスト感度、両眼視といった眼科で最も基本的な「視覚の質」を向上させるために、新規治療を積極的に取り入れ、もしくは開発し、それらの臨床研究を行なうことで、治療効果のエビデンスを打ち立てることです。そのことで、視機能改善手術が安全で優れたものであることを発信しつづけることを使命としています。伝統ある斜視弱視の専門外来を立ち上げた当教室の視機能研究は、我が国のなかでもユニークな存在であると自負しています。主たる研究テーマは以下の6つとなります。

1.角膜屈折矯正手術

 エキシマレーザーを利用した角膜屈折矯正手術の臨床試験を1993年から開始し、数多くの角膜屈折矯正手術の臨床試験をおこなってきました。我が国で認可されているエキシマレーザーの全ての臨床試験に関わったのは当教室のみです。現在でもPhotorefractive keratectomy(PRK)、Laser in situ keratomilerusis (LASIK)をはじめとするエキシマレーザー屈矯正手術の希望患者さんの適応検査を行っています。また、術後長期経過の観察を行い長期的にみても手術が安全であることの基本的なデータを集積しています。関連施設のバプテスト眼科クリニックと協力して、近視、遠視、乱視のかたの治療もおこなっていますが、さらに円錐角膜など不正乱視の強い場合にも対応するため、「角膜リング」や「クロスリンキング」治療も取り入れてゆく予定です。
 また、フェムトセカンドレーザーを用いた角膜移植手術を屈折矯正角膜移植術として取り入れ、「視機能のすぐれた角膜移植」の開発研究を実施中です。

2.小児屈折異常と疫学調査

 近視の原因は不明です。しかも、近視の進行を予防することさえ我々眼科医にはできません。近視の進行予防の手がかりを見つけるため、近視と高次収差を経年測定し、この関連を調査しています。

3.オルソケラトロジー

 オルソケラトロジーとは、就眠時にコンタクトレンズを装用し角膜形状を一時的に変形させて近視矯正効果を得る方法です。近視の進行予防としてオルソケラトロジーが有効かどうか、臨床研究として調査しています。

4.有水晶体眼内レンズ(フェイキックIOL)

 フェイキックIOLは2002年から臨床試験を開始し、すでに6年の経過を観察しています。2009年からは新しいデザインの前房型フェイキックIOLの臨床試験を行なっています。

5.斜視の外科的矯正

 伝統の斜視外来で、共同性斜視から非共同性斜視まで幅広く治療しています。現在はプリズムアダプテーションによる術前眼位の測定を徹底し、そこから定量した手術効果についてのデータを集積、解析し、より精度の高い斜視手術を目指しています。

6.老視の外科的矯正

 多焦点もしくは二重焦点眼内レンズの登場で、老視も治療可能になってきました。多焦点眼内レンズ挿入術を行なうのみならず、術後の視機能について調査しています。